第9話「ぬいぐるみ病院」
突然ですが、皆さんが持っているもので一番古いものはなんですか?
僕は、生まれた時にいただいた猫のぬいぐるみ。
それを幼き頃から抱えていた僕は、
なんと結婚してからも連れてきて、現在も我が家にいるのだった。
この年になってもぬいぐるみを飾っている男が、果たしてどれくらいいるだろうか?
でもねえ、これはもう仕方ない。
我が半身と化したぬいぐるみ。
捨てられるわけがない。
ちなみにうちの嫁は、このぬいぐるみのことを、ちゃんと家族として受け入れてくれている。そして時々、やきもちを焼いている。なんかしらないが、ぬいぐるみの声をアテレコするという遊びまでやってる始末だ。ヨス家は今日も平和です。
ただ30と数年一緒にいると、ぬいぐるみはボロボロだった。
もう、お腹に穴が空きそうなほどだった。
パペット式なのだが、ボロボロぬいぐるみ時代に嫁が手を突っ込もうとして、思わず「やめてくれー」と叫んだことがある。
嫁にあんなに大声出したのは、先にも後にもあの時だけ。
そのことで嫁に時々、からかわれる。
たぶん一生言われるんだろう。
ボロボロだったぬいぐるみ。
このままではいつか壊れるんじゃないかと思っていたのだが。
そこでお世話になったのが「ぬいぐるみ病院」である。
テレビで紹介されていたところに、目が釘付けになったのだった。
これだっ! これしかないっ!
即効で予約をいれようとした。
しかし――。
返答は無常にも、1年待ちという連絡だった。
いやはや、結構な人気である。みんな、隠れてぬいぐるみ大事にしてるのかね?
春夏秋冬……ただ時間だけが過ぎて行き、
1年たってもなかなか連絡がこなくて、こりゃ忘れられたかな? と肩を落としていると、ようやく「あなたの番です」とメールが来たのだった。
ここ数年であんなにガッツポーズとったことはないね!
そっから問診票を書いて、治療して欲しい場所を指定したりして、ちょっとドキドキしながらも無事に送り出したのだった。
入院中の様子まで送ってきてくれるという、丁寧さにビックリ!
かなーりふっくらして帰ってきて最初は別猫かと思ったほど。
それにしても、立派に治療を受けて帰ってきてくれた。
少なくともこれから30年は苦楽を共に出来そうな出来栄え。個人的には大満足である。
ぬいぐるみがボロボロだけど治療したいと思うなら、やってもらうのは十分アリだと思う。
赤ちゃんが生まれたら、ぬいぐるみをあげようかなあと思ったり。
ネズミ年なら、それに関係するものがいいかな?
カピパラはネズミ系なので、そうしようかな?
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