ヨス家の子育て物語

~子を育て、子に育てられ、親になってゆく~

第11話「新しい命」

今回は人生でもっとも長く感じた1日ーー2020年1月1日までの出来ごとです。




2019年12月31日の朝早くに嫁がうーん?と声をあげたのが長い1日の始まりだった。
最初は寝言かなと思ったけど、そんな暢気な気分は一瞬で消し飛ぶ。


嫁「破水した…かもしれない」


寝ぼけ眼の僕はしばらく頭が追い付かなかったが、一気に覚醒することになる。


この時点で陣痛は10分おきに、あるかどうかというぐらい。真っ先にしたのは病院への電話と、朝御飯を食べることだった。
嫁が腹へったと言うんだもの。
腹が減っては戦ができぬとは言うけれども。
余裕あるんだか、ないんだか。


今年最後の日だけど、僕は仕事があった。だけれども、「職場の方は私たちがどうにかするので、お嫁さんについてあげてください!」と部下たちからの温かいお言葉に感謝しかなかった。仕事の出切る部下たちに感謝しかなかった。


車で病院へと嫁を連れていく。お腹いたい波が寄せては引いていく。10分おきぐらいに痛みがくるのが5分へ。
僕もなんだかお腹と背中あたりが痛い…。ヨスのは陣痛違う、昨日の筋肉トレの後遺症や!
そんな感じで、まあまあテンパっていたようで…。妊婦さんを乗せて運転するときは、冷静さを欠くようだ。もしもそんな機会があなたにもおとずれたとしたら、本当に気を付けて運転して欲しい。


どうにか病院へとたどり着いたが嫁は痛みで歩けそうもない。車イスで移動することになる。


病院も妊婦さんの年末の駆け込みが多いようで、陣痛室もなかなかに混んでいるようだった。なんにせよ、病院についたのだから一安心。ここから入院して、病院で陣痛との戦いかあ。
そんな風に思っていたのだが


看護師「まだ長そうなので、一度おうちに戻ってください」


一瞬耳を疑ったが、聞き間違いではなかった。
なんとまだ破水ではなかったようで、さらに時間が掛かりそうなので、おうち待機になることに。


そう言われれば仕方がないので、ヒヤヒヤしながらまた運転をして、帰りましたとも。
そこから5分おきくらいに嫁に襲いかかる陣痛。
とりあえず、陣痛がきたら仙骨あたりから身体の中心へと押すと良いという本の記載に従って実行する。あとは腰のマッサージを試みてみる。
嫁は感謝してくれるが、痛み具合からするに効果はいまいちのようだった。なんとも無力な僕である。
最終的には6時間近く我が家で待機することに。17時になって病院連絡すると、来てもらいたいが、また自宅に戻ってもらう可能性もある言われた。やはり年末だから、緊急性が高い人の見極めが厳しいかなあ。
もっとも、嫁は破水こそしてないけど痛みで限界な感じ。そのまま順調に入院できたよ。




そこから僕が出来たことは、
暖めた布で腰をあっためる
テニスボールで腰を押す。
飲み物を適宜飲んでもらう。
痛みで段々と呼吸が浅くなるので、深い呼吸を思い出してもらう。
陣痛モニターをみて、痛みが強くなるタイミング、弱くなるタイミングを嫁に教えてあげる。




特に呼吸が大切みたい。子宮口が10cmに開いて、赤ちゃんが出口の方にゆっくり降りてくるまで、痛みを上手く逃がさないといけないようだ。力んでしまうと子宮口が開くのを阻害してしまう。だからこそ、






痛みがあるときに息を細く長く吐く。手を握らないよう、開いた方がよいらしい。






でも痛いと力んでしまうのは、やってしまうこと。この矛盾を乗りきるのは実に大変そうだった。そばにいる僕も彼女の痛そうな様子に、息を止めてしまうことが何度もあった。その時に陣痛モニターから痛みがくるよーというのは、少し心構えが出切るようで嫁としてはありがたいとのことだった。




やがて今度は力んで良いことになる。
陣痛タイミングに息を吸って、今度は息を止めて赤ちゃんを外へ出すために力を入れる。少ししたら息を吐いて、すぐに吸って、また息を止めて力む。一度目よりも長く力を入れ続ける。可能ならばもう一度同じことを繰り返す。そしたら今度はクールタイムで深呼吸をする。


徐々に強くなってくる痛みと戦い続ける嫁。
少しずつ顔を出し始める我が子。


やがてその瞬間はやってきた。
我が子との対面。
だけど泣き声がとぎれとぎれ…。ちょっとうまく呼吸ができなくて、チューブで異物を吸ってもらうことに。数分のことだけど、こちらは永遠にも近いドキドキだった。


心が動く瞬間は理屈じゃないのだなあ。
嫁に頑張ったねと声を掛けようとして、
でも口を開けば涙が流れてきそうになる。


生まれてきた子供は健康そのもの。
僕らのところに来てくれてありがとう。


これからよろしくね❗



ここ数日で色々とありましたが、無事に赤ちゃんと対面できました。またこれから少しずつ悩みとか独り言、気づきみたいのをあげていきたいと考えています。購読してくれる皆様、これからもよろしくお願いいたします❗